タッチアップはフィールドでの応急処置として有効

作業の途中短時間である程度切れ味を回復できる

 タッチアップは前述したように、ホー二ングの補助的な役目をなすもので、これだけで切れ味をキープすることはできない。しかし長いキヤンプなどで、作業途中にある程皮の切れ味の回復を必要とする場合、10秒−20秒といった短時間でできるため有効である。
 何回かタッチアップを繰り返していくうちに効力は段々と低下していく。これはタッチアップがホーニング角度より5度程立てて行なうものであるから、刃厚が厚くなるにしたがって起こる現象であり、この段階に至ってはホーニングによる新たな角度出しが必要となってくる。

シャープナーも用途に応じた素材を選ぶ

 タッチアップ道具には、砥石と同様に様々な素材を用いたものがある。荒い方から順にダイヤモンド系、スチール系、セラミックス系に大別できる。それぞれの素材の中でも荒さはまちまちなので、用途に応じて選ぼう。たとえば、切れ味重視のフィッシングナイフ等は細かめのセラミックス、ハンティングの皮はぎにはスチールやダイヤモンドの細かめのもの、キャンピングナイフやブッシュナイフには荒めのスチールやダイヤモンドが向いていると言えよう。他にもポケットストーンと呼ばれる小さな砥石が用いられる。

少ない回数、力を抜いて--------------がコツ

 一度のタッチアップで力を入れて何十回もストロークすることは、前述した通り無駄に刃先を減らしてしまい逆効果となる。刃先に波を付けるだけであるから、仕上砥をかけるようにエッジを優しく撫でるような感じで数回にとどめるようにすることがコツ。
 円筒状のものはあまり意識しなくてよいが板状のものは砥石のときと同様に、カーブの部分の角度に注意が必要である。下のタイプ別の使い方を参考にしてもらいたい。

●板状のもの
●棒状のもの
板状のものは、考え方としては砥石とまったく変わりない。違いといえば、角度を5度程立ててストロークすること。ただし、ストロークはホー二ングとは異なり、片手で行なわなければならないので、角度には十分な注意が必要。空中で適当に行なうと、とくに角度が狂いやすいので、シャープナーの先端は安定したところに置き、ストロークするようにしよう。このテのシャープナーはとくに長目のものをおすすめする。 棒状のシャープナーは、砥石と同様ブレードより少々長いものが使いやすい。ホーニングの角度より5度程鈍角に当たるように、シャープナ一の先をテーブルに付けてしっかりと固定し、プレードが垂直な状態で角度を得られるようにセットする。プレードの根元からポイントに向かって力を入れず、撫でるように垂直に振りおろす。裏面も同様。Rの部分も円筒シャープナーの場合は気にせず振りおろせばよい。
●ポケットストーン
●V字状のもの
ポケットストーンは3インチ程度の小型の砥石で、合成のものと天然のものがある。グレードも荒・中・仕上げとあり、用途によって選ぽう。使い方は、ナイフを固定させ砥石のほうを動かすが、やはり5度程エッジ角より立てて軽く撫でる。オイルストーンはあらかじめオイルを染み込ませておくとよい。プレードより砥石のほうが短い場含が多いので、くれぐれも指を切らないように気を付けてもらいたい。 V字状のものは、あらかじめ適当な角度にセットされているものと、角度が2種ほど選べるものがあるが、片側25度以上あるものを求めるようにしよう。使用方法は、右、左双方とも同回数軽く垂直に振りおろせばよい。
(注)V字状のものでも、中央に挟み手前に引くものがあるが、これらは本来の波状効果を得るものとは異なり、ホー二シグと同様にサイドを削り取るもので、素材によっては刃こぽれを増幅させてしまう可能性がある。


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